「プラチナの価値はなくなる?」
「今後のプラチナの価値が知りたい」
このように考えていませんか?
プラチナは、金と同様に投資商品として人気のある貴金属です。金を上回る価格で取引されていた時期もありましたが、現在は金価格を下回っています。
そのため、プラチナへの投資に関して、今後価値がなくなるのではないかと心配になる人もいるでしょう。
この記事では、現在のプラチナの価値や今後の見通し・プラチナの投資方法について解説します。ぜひ参考にしてみてください。
<この記事でわかること>
- プラチナの価値がなくなる将来の可能性
- 今後のプラチナ価格に影響を与える要素
- これからのプラチナ価格の予想
プラチナの価値がなくなることはある?

結論から述べると、プラチナの価値が完全になくなることは考えられません。
プラチナは金と同じように、現物として価値を保つ実物資産のためです。また、年間生産量が少なく、高い希少価値を誇ります。
さらに、自動車の排ガス浄化触媒をはじめとして、さまざまな産業分野でプラチナは必要とされている点も特徴です。
実物資産・希少性・高い需要から、プラチナの価値がゼロになる可能性は極めて低いと言えるでしょう。
プラチナ価格の現状

現在のプラチナ価格は、過去の低迷期から回復傾向にあります。しかし、依然として金価格を大きく下回る水準で推移しているのが現状です。
2025年6月の金価格が約15,000円/g(税抜)である一方、プラチナは約5,800円/g(税抜)で取引されています。
金価格と比べると大きな差が開いていますが、プラチナの歴史の中では高水準を示しているのは確かです。
近年は水素社会に向けた動きがあり、プラチナの需要拡大が期待されており、将来的にはさらに価格が上昇すると考えられています。
【グラフ】プラチナの価格が低迷した要因

参考:田中貴金属工業株式会社|年次金価格推移・田中貴金属工業株式会社年次|プラチナ価格推移
プラチナ価格が低迷した主な要因は以下のとおりです。
- 2008年|リーマンショック
- 2015年|フォルクスワーゲン排ガス規制不正問題
- 2020年|新型コロナウイルスの世界的拡大
それぞれ見てみましょう。
2008年|リーマンショック
リーマンショックによって、2008年までは月平均5,409円/g(税抜)で取引されていたプラチナが、月平均3,717円/g(税抜)まで下落しました。
下落した要因として、プラチナ価格が自動車の排ガス触媒など、工業需要に強く依存していた点が挙げられます。
世界的な経済危機によって自動車の販売台数が激減したことにより、プラチナの需要が急速に縮小したのです。
2010年にはプラチナの実物資産としての側面が評価され、需要が高まりましたが、価格は4,635円/g(税抜)と、リーマンショック前ほど上昇しませんでした。
2015年|フォルクスワーゲン排ガス規制不正問題
リーマンショック後は4,000円台を推移していたプラチナですが、2015年にフォルクスワーゲン排ガス規制不正問題によって再び下落しました。
フォルクスワーゲン排ガス規制不正問題とは、ドイツの自動車メーカー「フォルクスワーゲン」のディーゼル車における排ガス試験で不正が発覚した出来事です。
結果、不信感が高まり、世界的にディーゼル車の需要が減少したのです。プラチナは主にディーゼル車の排ガス浄化触媒に用いられるため、連動するように需要は減少。
その後、価格は下降し続け、2019年には3,120円/g(税抜)と、リーマンショック時よりも低い水準となりました。
2020年|新型コロナウイルスの世界的拡大
下落したプラチナ価格にさらに追い打ちをかける出来事が生じました。新型コロナウイルスの世界的拡大です。
世界中の経済活動が停滞し、自動車生産などの工業分野におけるプラチナの需要が急激に減少。プラチナの価格は2020年4月には2,713円/g(税抜)まで下落しました。
しかし、その後は、低迷の要因となった出来事を覆すように価格が上昇し始めます。
コロナショックが世界情勢の先行きを曇らせ、実物資産であるプラチナが脚光を浴びるようになったのです。
その結果、価格は年を追うごとに上昇し、2025年には約5,800円/g(税抜)の価格がつけられるようになりました。
今後のプラチナ価格に影響を与える要素

今後のプラチナ価格に影響を与える要素は以下のとおりです。
- 世界的な金融緩和
- 燃料電池車への期待
- 脱ディーゼルに向けた動き
- 水素社会に向けた動き
ひとつずつ解説します。
世界的な金融緩和
世界的な金融緩和は、プラチナ価格を押し上げる重要な要素となります。
市場に大量の資金が供給されると、通貨の価値が下がり、実物資産の価値が相対的に上がるためです。
低金利が続く状況では、貴金属の価格は上昇する傾向があるため、資金を投じるメリットが大きくなります。
また、金融緩和は景気回復への期待を高め、プラチナの工業需要が増加する可能性も考えられます。
金融緩和政策は、投資と需要の両面からプラチナ価格の上昇を後押しすると考えられているのです。
燃料電池車への期待
燃料電池車(FCEV)への期待もプラチナ価格に影響を与える要因です。
燃料電池車が水素と酸素から電気を生み出す際に、プラチナが主要触媒として使われるためです。
世界的な脱炭素社会に向けた動きが加速すれば、燃料電池車の普及も進み、プラチナ価格を上昇させる大きな要因になると考えられます。
脱ディーゼルに向けた動き
世界的な脱ディーゼルに向けた動きは、プラチナ価格にとって下落要因になり得ます。
プラチナは主にディーゼル車の排ガス浄化触媒に使用されているためです。現在は電気自動車などへの移行が進んでおり、プラチナの需要が減少する懸念があります。
水素社会に向けた動き
世界的な水素社会の実現に向けた動きは、プラチナの需要を拡大させる可能性があります。
水素エネルギーの活用には、多くの場面でプラチナが不可欠な触媒として用いられるためです。
先述した燃料電池をはじめ、水電解装置(水素を製造する装置)にプラチナは欠かせません。
脱炭素の切り札として水素エネルギーへの注目が高まる中、関連技術の開発も加速しており、プラチナに新たな工業需要が誕生するかもしれません。
【価格予想】これからのプラチナはどうなる?

今までのプラチナ価格の動向と、価格に影響を与える可能性のある要素を考慮したうえで、今後の見通しを以下の点で解説します。
それぞれ見てみましょう。
短期的な見通し
プラチナは、短期的に緩やかな上昇が予想されています。
世界的な景気回復への期待や金融緩和政策の継続によって、工業需要と投資需要の両面からプラチナに資金が流れると考えられているためです。
特に、プラチナ需要を牽引する自動車産業がさらに成長すれば、価格を押し上げる大きな要因となります。
しかし、フォルクスワーゲン排ガス規制不正問題のように、特定の産業における需要が下がる出来事が生じればプラチナ価格にマイナスの影響を与えかねません。
そのため、短期的に見れば価格変動リスクは依然として高いと考えられます。
長期的な見通し
長期的に見ると、プラチナの価値は上がる可能性があります。
前章で解説したように、世界のエネルギー構造が変化すれば、プラチナに新たな需要が生まれるためです。
特に、脱炭素社会の実現に向けた水素社会の普及や、燃料電池車の実用化は、プラチナの工業需要を飛躍的に拡大させると期待されています。
また、ガソリン車の触媒に用いられるパラジウムの価格高騰から、プラチナへの代替需要が高まる可能性もあります。
プラチナは長期的な視点で見れば、金との価格差が縮まるほどの成長を遂げる可能性があるのです。
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プラチナ投資の方法

プラチナに投資する方法は以下のとおりです。
- 地金・コインの購入
- 宝飾品の購入
- プラチナ積み立て
- 投資信託・ETF
- 先物取引
それぞれ解説します。
地金・コインの購入
プラチナ投資の基本的な方法は、地金やコインを直接購入する方法です。地金とは、貴金属を延べ棒状に加工したもので、地金商などで購入できます。
実物のプラチナを購入するため、手元に保有できる安心感を得られますが、盗難や紛失のリスクがあることも覚えておきましょう。
宝飾品の購入
プラチナ投資の方法として、宝飾品を購入することも選択肢に挙げられます。身につけて楽しめる実用性と、資産価値を同時に得られることが大きなメリットです。
ネックレスや指輪などをファッションとして楽しみながら、有事の際の換金にも備えられます。しかし、売却時はデザイン・ブランドの価値は加味されない場合がほとんどです。
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プラチナ積み立て
プラチナ積み立ては、毎月一定額もしくは一定量を積み立てていく投資方法です。少額から始められるため、まとまった資金がなくても投資に挑戦できます。
毎月決まった金額でプラチナを購入していくドルコスト平均法を活用することで、高値掴みのリスクを抑えられる点もメリットです。
ただし、購入時や売却時に手数料がかかったり、現物を引き出す際には別途費用が発生したりとデメリットも存在します。
投資信託・ETF
投資信託やETFは、複数の投資家から集めた資金をプロがプラチナに投資する仕組みの投資方法です。
比較的少額から始められ、現物を保有する必要がない点が大きなメリットに挙げられます。プロが運営するため、投資知識がない人でも安心できるでしょう。
しかし、購入や売却時の手数料に加え、信託報酬と呼ばれる運用手数料がかかる場合がほとんどです。
先物取引
プラチナの先物取引は、ハイリスク・ハイリターンな投資方法です。少ない資金(証拠金)で大きな取引ができるレバレッジ効果が期待できます。
将来の価格を予想して売買する特殊な投資であり、予想が外れると多額の損失を抱えるリスクがあります。
場合によっては、追加で資金を差し入れる追証が発生するケースも珍しくありません。
そのため、先物取引は専門的な知識を持ち、リスクを十分に理解している上級者向けと言えます。
プラチナ鉱山の株式を購入するのも選択肢のひとつ

プラチナへ直接投資する方法ではありませんが、プラチナ鉱山会社の株式を購入する方法も選択肢に挙げられます。
通常のプラチナ投資とは異なり、企業の成長による株価上昇や配当金が期待できることが大きなメリットです。
しかし、株式投資はプラチナの価格だけでなく、企業の業績・経営状況・現地の政治情勢などさまざまな要因から影響を受けます。
そのため、必ずプラチナ価格と株価が連動するわけではありません。株式投資に関する専門知識を持ち、リスクを理解している投資家向けと言えるでしょう。
プラチナ以外の投資対象となる貴金属

貴金属への投資はプラチナ以外にも選択肢があります。投資対象として人気のある貴金属は以下のとおりです。
それぞれ見てみましょう。
金
金は安定した資産として知られており、世界中から高い需要がある投資商品です。
経済危機や地政学リスクが高まった際に価値を保ちやすい特徴から「有事の金」とも呼ばれています。
2025年6月時点で、1gあたりの価格は約15,000円(税抜)と、プラチナを大きく上回る水準で推移しています。安定性を重視するなら、金へ投資するのも良い選択です。
パラジウム
パラジウムの価格は2025年6月時点で5,000円台/g(税抜)とプラチナに次いで価格が高い貴金属です。
プラチナと同様に、主にガソリン車の排ガス触媒としての需要が高い特徴があります。近年は価格高騰が顕著であり、パラジウムの代わりにプラチナが使われるようになりました。
触媒としての需要が下がっていますが、希少な金属に代わりはないため、将来性のある投資対象と言えるでしょう。
銀
銀の2025年6月時点の価格は約160円/g(税抜)と金やプラチナに比べて安価な点が特徴です。他の貴金属よりも埋蔵量や生産量が多く、価格が比較的低い点が価格に影響を与えています。
銀も工業分野からの需要が高く、価格変動リスクがありますが、安価なため投資初心者でも始めやすい種類と言えるでしょう。
プラチナが金より安価な理由

プラチナが金よりも安価な理由は以下のとおりです。
- プラチナは工業需要への依存度が高い
- プラチナは価格変動リスクがある
それぞれ解説します。
プラチナは工業需要への依存度が高い
プラチナの需要の多くは自動車の排ガス触媒など、特定の工業分野が占めており、金に比べて工業需要への依存度が高い特徴があります。
一方、金は宝飾品や工業用品、さらには各国の中央銀行が保有する資産など、多岐にわたる需要が存在します。
そのため、プラチナは金に比べて特定の産業や景気変動の影響を受けやすく、価格が不安定になりがちなのです。
参考:一般社団法人 日本金地金流通協会
プラチナは価格変動リスクがある
プラチナは、金に比べて価格変動リスクが高い点も特徴です。
世界の供給が南アフリカとロシアに集中しているため、地政学的なリスクに価格が左右されやすい点が理由に挙げられます。
主な産出国で政情不安や鉱山労働者のストライキなどが起きれば、供給が途絶えるリスクが生じます。
供給の停滞は、需要と供給のバランスを崩し、価格の急騰や急落を引き起こす可能性があるため、金と比べると価格変動リスクが高いと言えるのです。
参考:一般社団法人日本金地金流通協会|PLATINUM最新データ
今から知っておきたい!プラチナの価値を維持する方法

プラチナの購入を検討しているなら、価値を維持する方法を知っておけば、より大きな利益を生み出せる可能性が高まります。購入した際は以下のポイントを押さえておきましょう。
それぞれ解説します。
付属品を保管しておく
プラチナ製品の価値を維持するために、購入時の付属品を大切に保管しておきましょう。
付属品はプラチナ製品の価値を証明してくれる重要なアイテムです。特に宝飾品は、鑑定書や鑑別書が本物の証明になります。
また、ブランド品であれば、保証書や専用の箱やケースも査定額アップにつながるでしょう。
きれいな状態を保つ
プラチナ製品の価値を維持するためには、きれいな状態を保つことが大切です。特に宝飾品は状態が良いほど高価買取される傾向があります。
定期的に柔らかい布で優しく拭いたり、専用のケースに保管したりなど、丁寧な扱いを心がけましょう。
【Q&A】プラチナの価格に関するよくある質問

プラチナの価格に関するよくある質問を紹介します。
- Q.プラチナ価格が安すぎる理由は?
- Q.金とプラチナどっちを買うべき?
- Q.2030年のプラチナ価格はいくらになるでしょうか?
それぞれ見てみましょう。
Q.プラチナ価格が安すぎる理由は?
A.プラチナ価格が安すぎる主な理由は、工業需要への依存度が高いためです。
自動車産業の景気変動や、特定の国に供給が集中していることから、価格が不安定になりやすい特徴があります。
Q.金とプラチナどっちを買うべき?
A.投資目的によって異なります。
安定性を重視し、長期的な資産保全を考えるなら金が適しているでしょう。
価格変動リスクを承知のうえで、将来の成長性や大きなリターンを狙うならプラチナが良い選択肢となります。
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Q.2030年のプラチナ価格はいくらになるでしょうか?
A.2030年のプラチナ価格を断定することは誰にもできません。
価格は、世界的な金融緩和や脱炭素社会の進展など、多くの要因に左右されるためです。
しかし、長期的な需要増加が期待できるため、現在の価格を大きく上回る可能性は十分にあると言えます。
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